高齢になると加齢に伴い筋肉量が減ったり骨がもろくなったり、体にさまざまな変化が起こりやすくなります。高齢になっても元気な体を保つには、体は食べたもので作られるため日頃の食事内容がとても重要です。食事はどの年代においても大切ですが、高齢であるからこそ、しっかりと取っておきたい栄養素もあります。
当記事では、そんな栄養素と栄養素が含まれる食品について解説します。食生活が今の状態でよいのか気になっている方や健康を維持したいという方は、ぜひ参考にしてください。
目次
高齢者で「体重が減少した」「風邪を引きやすい」などのトラブルが気になる場合、低栄養を疑いましょう。低栄養とは、身体の各器官を構成する栄養や活動のエネルギー源が不足している状態です。
高齢者の低栄養は心身の健康状態に大きな影響を与え、虚弱の原因になる恐れがあります。低栄養がきっかけとなり、要介護状態になるリスクや死亡リスクが高まることもあるため、意識的な対策が必要です。
出典:消費者庁「栄養成分表示を活用しよう⑤高齢者の低栄養予防」
以下では、低栄養を予防するために意識したい高齢者に必要な栄養素と不足した場合の影響を紹介します。
糖質は、消化吸収された後にブドウ糖へと分解され、さまざまな器官のエネルギー源として活用される栄養素です。高齢者の場合、糖質が不足した際には、以下の影響が懸念されます。
糖質は、脳の主要なエネルギー源としても活用される栄養素です。脳のエネルギー源が不足している状態では正常に機能しにくく、判断力や思考力が低下する可能性もあります。
糖質を含む食材の代表例は、ご飯・パン・めん類・いも類などです。菓子類や甘味料にも糖質が含まれるものの血糖値を急上昇させるリスクがあるため、できる限り主食などから糖質を摂取してください。
出典:厚生労働省「ブドウ糖」
脂質は、糖質同様に身体の重要なエネルギー源として活用されたりホルモンや細胞膜の材料になったりする栄養素です。極端に脂質を制限してエネルギー源が不足すると、疲労を感じやすくなることがあります。
脂質を含む食材の代表例は、牛肉・オリーブ油・ぶり・あじなどです。肉・植物油・魚に含まれる脂質の種類は異なるため、さまざまな食材を日々の食事に取り入れましょう。
ただし、肥満傾向にある人は、脂質を適量にコントロールすることも必要です。特に腎臓疾患がある人は、医師や管理栄養士に肉や魚の食べ方を相談すると安心でしょう。
たんぱく質は、筋肉・骨・血液などの材料になる栄養素です。高齢者は加齢によって減少する筋肉量を維持し、サルコペニア(筋力の減少によって身体機能が低下すること)を予防するため、十分なたんぱく質を摂取する必要があります。
出典:厚生労働省「「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 1―2たんぱく質」
たんぱく質は、フレイルを予防するためにも欠かせない栄養素の1つです。フレイルとは、病気ではないものの年齢とともに筋力と心身の活力が低下し、健康と要介護の間の虚弱な状態を指します。フレイルを予防する目的で意識的にたんぱく質を摂取する場合、体重×1.0~1.2gを目標にすることが推奨されます。
出典:神戸市「65歳からの健康づくりのキーワードは「フレイル」」
手軽にたんぱく質を摂取するためには、魚の缶詰や豆腐を活用する方法があります。動物性たんぱく質を手軽に摂取したい場合は、サラダチキンやゆで卵を日々の食事に取り入れましょう。
カルシウムは骨・歯の材料になる他、筋肉の収縮や神経の安定にも関係している栄養素です。カルシウムが不足している高齢者は、骨粗鬆症リスクが高まるとも言われます。カルシウムが不足して神経や筋肉の興奮が高まると、てんかんリスクも高まるため、意識的に摂取しましょう。
カルシウムを含む食材の代表例は、以下の通りです。
乳製品は上記の中でも、カルシウムの効率的な摂取に適した食材です。牛乳が苦手な方は料理に活用したりチーズやヨーグルトを選択したりすると、無理なくカルシウムを摂取できます。
ビタミンDは、小腸や腎臓でカルシウムの吸収をサポートする栄養素です。ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収に支障が生じ、骨・歯の健康に影響するリスクがあります。骨量がそもそも低下している高齢者の場合、カルシウムの不足は骨折のリスクを高める要因です。高齢者が骨折すると寝たきり状態になるリスクもあるため、ビタミンDを不足なく摂取し、骨・歯の健康維持に努めましょう。
ビタミンDを含む食材の代表例は、鮭・さんま・きのこ類です。ビタミンDは脂溶性ビタミンにあたるため、揚げる・炒めるなどの調理法を選択することで、吸収率を高められます。また、ビタミンDは日光が皮膚に当たることで生成されます。食事だけでは不足しやすいため、日光を適度に浴びることも重要です。
出典:eJIME「ビタミンD」
食物繊維は、小腸で消化・吸収されずに大腸まで届き、腸内環境の改善を助ける栄養素です。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維には食後の血糖値の上昇を抑制したり血液中のコレステロール濃度の低下を助けたりする働き、不溶性食物繊維には便の容積を増加させる働きが期待されます。
食物繊維を手軽に摂取するためには、3食中の1食の主食を玄米ご飯・麦ご飯・全粒小麦パンなどに置き換える方法がおすすめです。切り干し大根・さつまいも・ごぼう・モロヘイヤ・きのこ類などにも食物繊維が含まれるため、副菜として意識的に取り入れましょう。
高齢者が低栄養になる原因は主に、食生活の乱れや食事内容の問題です。ひとり暮らしの高齢者の場合は孤食が原因で低栄養になるケースもあるため、家族や友人と一緒に食事する機会を定期的に提供しましょう。
以下では、高齢者の低栄養を防止するための代表的な対策法を紹介します。
高齢者の健康的な食事の基本は1日3食、栄養バランスに配慮した食事を取ることです。ご飯やパンなどの主食・肉や魚の主菜・野菜やきのこ類などの副菜を毎食揃えることを意識すれば自然に、栄養バランスに配慮した食事が取れます。
ひとり暮らしの高齢者で食事の準備が負担になる場合には、市販の惣菜や缶詰などを活用すると便利です。自分ひとりの食事では多くの量を消費できず、うっかり食べ物を余らせてしまうこともあります。食材を余らせることに抵抗のある方は、冷凍野菜や乾物を意識的に活用しましょう。
食事量の減少による栄養不足が気になる場合には、間食を取り入れましょう。間食の目安量は身体活動レベルや健康状態によっても変化するものの、1日200kcal程度が1つの基準にあたります。
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「間食のエネルギー(カロリー)」
間食のメニューは、普段の食事で不足する栄養素を補うことを意識して選択しましょう。たとえば、たんぱく質やカルシウムが不足している場合、小魚アーモンドやヨーグルトを間食に選択します。食物繊維が不足している場合には、焼きいもやドライフルーツを選択するとよいでしょう。
味覚・咀嚼力・嚥下力が低下した高齢者に対しては、以下の工夫を取り入れた食べやすい食事を提供しましょう。
固い野菜は歯茎で潰せる程度の硬さまで加熱すると、食べやすさが向上します。もしくは、隠し包丁を入れたり皮を剥いたりすることで、噛み切りやすい状態にしましょう。
嚥下力が低下した高齢者の場合には、裏ごしする・ミキサーにかけるなどの手段で滑らかにすると、食べやすさが向上するケースもあります。献立によっては片栗粉などを活用して適度なとろみをつけ、口の中でまとまりやすい状態を作る方法も活用しましょう。
高齢になると食が細くなり、低栄養となってしまう方も少なくありません。低栄養を予防するためには、糖質やたんぱく質、脂質、カルシウムなど、不足しがちな栄養素をしっかり食べるように意識しましょう。なにかの栄養素が不足しすぎると健康へ影響し、生活にも支障を及ぼす可能性もあります。
食生活はバランスの良い食事を1日3食心がけ、食事で不足していると感じる栄養素に関しては間食で補います。野菜をたっぷり入れた味噌汁など料理を工夫すると品数をたくさん作る必要もありません。できるだけ負担を軽減しながら、健康を維持しましょう。
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