高齢化が進む中、認知症は誰にとっても身近な課題となりつつあります。発症を完全に防ぐ方法は確立されていませんが、近年の研究では食生活と認知機能の維持との関連が注目されています。脳に必要な栄養素を含む食材を意識的に取り入れることは、記憶力や判断力を支える生活習慣の1つと考えられています。
当記事では、認知症予防の観点から注目される食べ物や飲み物、毎日の食生活で心がけたいポイントを分かりやすく解説します。
認知症予防には、日々の食生活が大きく関わっていると言われています。脳の働きを保つ栄養素や抗酸化作用を持つ成分を意識的に取り入れることで、記憶力や判断力の維持につながる可能性があります。ここでは、特に効果が期待される食べ物や飲み物を紹介します。
イワシやサンマ、サバなどの青魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。これらは人間の体内でほとんど合成できない必須脂肪酸で、特に脳の神経細胞の膜に多く存在する成分として知られています。
研究では、血液中のDHA濃度が高い人ほど加齢に伴う認知機能の低下リスクが低い傾向があると報告されています。また、魚を週2回以上食べる人ではアルツハイマー病の発症リスクが低い可能性が示唆されており、青魚を食生活に取り入れることが脳の健康維持につながると考えられています。
緑黄色野菜や果物には、ビタミンCやβ-カロテンなどの抗酸化成分や食物繊維が多く含まれています。これらの栄養素は、体内の酸化ストレスを抑える働きが期待され、脳の健康維持に役立つ可能性があると考えられています。
国内の大規模研究では、野菜や果物を多く摂取する人の方が、加齢に伴う認知機能低下のリスクが低い傾向が示されています。特にビタミンCや食物繊維は、腸内環境や神経炎症に関与することが知られており、日常的に摂取することで心身の健康を支えるとされています。緑黄色野菜や果物を日々の食事に加えることは、健康的な食生活を保ちながら脳の健やかな働きを支える助けになります。
出典:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト「野菜・果物摂取と認知症リスクとの関連」
大豆製品は、日本の食卓に欠かせない存在であり、植物性たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいます。さらに、大豆特有の成分であるイソフラボンは、ホルモンの働きを補う性質があるとされ、健康面への寄与が注目されています。
研究の中には、豆類やイソフラボンの摂取量が多い女性ほど、長期的に認知機能の低下リスクが低い傾向が見られたと報告するものもあります。納豆や豆腐、味噌、豆乳などバリエーションが豊富なため、日常的に取り入れやすい点も魅力です。
カレーに使われるスパイスの中でも特に注目されているのが、ウコン(ターメリック)に含まれるクルクミンという成分です。クルクミンは抗酸化作用や抗炎症作用を持つとされ、アルツハイマー型認知症に関連すると考えられているアミロイドβとの関わりが研究されています。また、カレーにはターメリックのほかにも、シナモンやクローブ、カルダモンなど多くの香辛料が使われ、スパイスごとに異なる健康効果が期待されています。
疫学調査では、カレーを食生活に取り入れている地域の高齢者で認知症の発症が比較的少ない傾向が報告されており、香辛料の働きが関与している可能性が指摘されています。日常の中で取り入れやすく、香辛料を一度に摂取できる料理として、カレーは脳の健康を意識した食習慣の工夫の1つと言えるでしょう。
出典:科学技術振興機構(JST)「脳内のアミロイドβの量を減少させる光触媒を開発~触媒反応によるアルツハイマー病治療の実現に一歩前進~」
オリーブオイルは、地中海式食事の中心として知られ、脳や心血管の健康に役立つ可能性が注目されています。主成分であるオレイン酸は、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らし、動脈硬化のリスク低下に関わると考えられています。さらに、ビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化成分も豊富で、酸化ストレスから細胞を守るはたらきが期待されています。
これらの特徴から、オリーブオイルを料理に取り入れることは、加齢に伴う脳や血管の機能を支える工夫の1つと言えるでしょう。サラダやパンに使えるエクストラバージンタイプと、加熱に適したピュアタイプを上手に使い分けるのもおすすめです。
コーヒーや緑茶は、日常的に親しまれる嗜好飲料であり、健康や脳機能への影響も研究対象となっています。特に緑茶には、カテキンなどのポリフェノールが多く含まれ、抗酸化作用や抗炎症作用により脳細胞をサポートする可能性があると考えられています。実際に、緑茶を1日2杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて認知機能の低下が起こりにくい傾向が示された研究もあります。
一方で、日本人高齢者を対象とした調査では、コーヒーを1日3杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて認知症リスクが約半分であったとされ、特にカフェイン摂取との関連が示唆されました。コーヒーにはカフェインのほかポリフェノールも多く含まれており、これらが好ましい影響を与えている可能性があります。ただし、過剰な摂取は不眠などのリスクもあるため、日常生活の中で無理なく取り入れることが望ましいと言えるでしょう。
赤ワインは、適量をたしなむことで脳の健康に良い影響をもたらす可能性がある飲み物として注目されています。スウェーデンで行われた長期追跡研究では、ワインを習慣的に飲む人は飲まない人に比べて認知症のリスクが低い傾向が示されました。特に女性や喫煙者でその関連性が強く見られたと報告されています。
赤ワインにはポリフェノールの一種であるレスベラトロールが含まれ、抗酸化作用によって脳細胞の働きをサポートする可能性があると考えられています。一方で、アルコールの過剰摂取は健康に悪い影響を及ぼすため、量を守りながら楽しむことが重要です。赤ワインは、食事とともに少量を味わうことで、豊かな時間を過ごしながら健康面への効果も期待できる飲み物といえるでしょう。
認知症のリスクを下げるには、特定の食品だけでなく、日々の食事全体のとり方が大切です。栄養バランスを意識しながら、カロリーや塩分のとり過ぎを防ぐことが、脳と体の健康を保つ基盤となります。ここでは、毎日の食生活で気をつけたいポイントを紹介します。
認知症のリスクを下げるためには、特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事をとることが大切です。ご飯やパンなどの主食はエネルギー源となり、魚や大豆製品などの主菜は体をつくるもとに、野菜や海藻類などの副菜はビタミンやミネラルを補います。
栄養素は互いに作用し合って働くため、どれか1つが欠けても体と脳の機能は十分に保てません。WHOのガイドラインでもバランスの取れた食事は推奨されており、日々の積み重ねが脳の健康を支える基盤となります。
高齢者が健康を維持するには、年齢や性別に応じた適切なカロリー摂取が大切です。摂取エネルギーが不足すると低栄養を招き、筋力や認知機能の低下につながる一方、過剰な摂取は肥満や生活習慣病のリスクを高めます。そのため、男女別に示されている摂取基準を参考に、自身の活動量に合わせた食事量を心がけましょう。
特にたんぱく質やカルシウム、ビタミン類などの必要栄養素をバランス良く摂ることが、加齢に伴う心身の衰えを緩やかにし、認知症リスクを下げる生活習慣づくりにもつながります。
塩分の摂りすぎは高血圧を招き、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気につながるリスクを高めます。日本では「高血圧治療ガイドライン」において、成人男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満の食塩摂取が目安とされています。しかし、実際の日本人の摂取量は依然として多いのが現状です。
加工食品や外食に含まれる塩分は気づかないうちに増えてしまうため、調味料を控えめにしたり、減塩食品を選ぶ工夫が欠かせません。日常的に適正な摂取量を意識することで、血圧の安定や血管の健康を守り、認知症リスクを含めた生活習慣病の予防につながります。
認知症予防の観点からは、青魚や緑黄色野菜・果物、大豆製品、オリーブオイル、カレーなどに含まれる栄養素が、脳の健康を支える可能性があると考えられています。さらに、コーヒーや緑茶、赤ワインなどの飲み物も、適量であれば抗酸化作用や血流改善に関わり、認知機能の維持に役立つ可能性が示されています。
食事では食品だけでなく、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスの良い食事を心がけ、摂取カロリーを適正に保ち、塩分を控えることが大切です。日々の食習慣を見直すことが、将来の認知症リスクを下げる生活基盤となります。
記憶力低下は20代からはじまるの!?
記憶力が低下しても平気?
なんで歳を取ると忘れっぽくなるの?
そんな疑問にこちらのページで答えています。
エネルギー補給に!
MCTは短時間で体のエネルギーになる為、50年以上前から手術後のエネルギー補給として使用されています。
集中したい時に!
集中力を維持しながら勉強したり作業したい時は、短時間でエネルギーになるMCTを効率的に補給するのがGood!
運動のサポートに!
MCTは運動との相性良し!筋肉が脂肪燃焼型に移行するため「めざしたいボディ像」を持ってる人にもおすすめ!
健康かわら版はキリッと元気でさえざえとした生活を目指す皆様が気軽に日常でお試しいただける予防法やチェックリストなどの様々な読み物を医師監修で取り上げています。
キリッとPQQをお買上げのお客様には最新号を商品と一緒に同梱してお届け。バックナンバーはこちらのリンクから無料でダウンロード頂けます。